「家族や友人・知人に知られずに債務整理したい」という気持ちはよくわかります。
借金の悩みは人それぞれですが、自分で作ってしまった借金ならばなおさら「家族には知られたくない」と思うでしょう。
原則的には、自己破産であろうと、家族に内緒で手続きをすることは可能です。
ただ、自己破産の場合は、持ち家ならば売却しなければなりませんし、車などローン中であれば、取り上げられる可能性が高いです。
そうなると、とてもじゃないけど、内緒にはできませんよね。
任意整理ならどうでしょうか?
「任意整理」は、弁護士や司法書士が代理人となって、債権者と直接金利の引き下げを交渉してもらう借金の整理方法です。
裁判所に出向く必要が無いので、自己破産や個人再生に比べると、家族に内緒で行いやすい債務整理方法と言えるでしょう。
ここに一人の女性が居ます。
仮にA子さんとしますが、彼女は、主婦として家事をこなす他、同居している義理の両親の介護をし、その上パートにまで出て働いていました。
夫も家事や介護には協力的で、一流とは言えないまでも、中堅企業に勤めていたので、贅沢はできないけれど、幸せに暮らしていたのです。
ところが、ある日突然、パートを解雇されたのです。
身に覚えは無かったのですが、A子さんが、同僚の財布を盗ったという噂が流れたのです。
結局は、「盗られた」という人の勘違いだったみたいですが、A子さんのことを良く思っていなかった同僚が、悪い噂を流して、パート先の上司の耳に入ってしまったんですね。
あろうことか、同じ時期に、ご主人の会社も業績が悪くなり、お給料は減る一方になったそうです。
最初は、貯金を切り崩してなんとか切り抜けていたのですが、そのうち日々の生活費にも困るようになって。。。
旦那さんも、アルバイトを掛け持ちするなどしてくれたそうですが、それでも足りずに、クレジットカード払いがかさむようになったのです。
「リボ払いだから、そのうち、パート先が見つかれば、余裕で返せる」と思っていたのですが、ショッピング枠が100万円近くあったことで気が大きくなり、気がついたら、月々の返済が難しくなってきました。
スポンサーリンク
消費者金融からも借り入れするようになった頃には、すでに多重債務まっしぐら。
5社借り入れで、総額350万円にまでなっていたとか。
それでも、頑張って働いてくれている旦那さんや、体が不自由になって、息子の嫁の世話になるしか無い両親に、お金の心配までさせてはいけない、と、内職しながら頑張ったA子さん。
とうとう、我慢の糸が切れて、うつ病の症状が出てしまったため、債務整理を決心したそうです。
弁護士に相談した時には、憔悴しきっていたため、「どうしても家族には心配をかけたくない」というA子さんの気持ちをくんで、任意整理を選択してくれた、ということ。
結果、毎月の支払額が、10万円から4万円まで減額され、金利は0%で和解。
完済するまでの期間が4年3ヶ月で、任意整理したおかげで今後支払う利息約150万円が免除される、ということ。
任意整理したことで、月々の支払額が大幅に減り、A子さんの気持ちも大分上向きになったせいか、パートの仕事も見つかったんですって。
弁護士さんも、事務手続きなどはA子さんのスマホに連絡を入れる、郵送が必要な書類については、事務所に直接来てもらうなど、家族にはバレないようにしてくれたんですね。
このように、「どうしても家族には内緒で債務整理したい」という希望があれば、法律事務所次第では、全くバレないで行うことも可能なので、借金で悩んでいる場合には、やはり「まず相談する」ということが大切なんだと思います。