以前「億男」という、佐藤健さん主演の映画を紹介したことがあります。
で、原作をもう一度読み返したのですが、やはり「深い」と言わざるを得ないです。
本当に、すべての「お金に困っている人」に読んでほしい、と思いました。
お金に対する価値観って、人それぞれで、もともと欲深い人、お金に対して淡白な人、そもそもお金に苦労したことが無い人など、みんな違いますよね。
それが、宝くじに高額当選したり、事業が思いがけず大成功を収めた時、大金を目の前にすると、コロッと変わってしまうのも人間なんです。
逆もまた真なりで、多重債務におちいって「究極にお金が無い」状態になっても、この主人公のように人間性が変わってしまいます。
すべてに対して欲が無くなるのです。
「3000万円もの借金を背負った主人公が、宝くじで3億の高額当選をした途端、自分がどうしたら良いかわからなくなり、大富豪の親友に相談する」と書いてしまうと、単純なストーリーのように思うかもしれませんが、そうでは無いです。
ただの借金男が宝くじに当たって、まさに地獄から天国を経験するストーリー?だと思ってしまうと大間違いで、まさにひとりの男性の人生そのもので、「お金と幸せの関係」について根本から考えさせられる物語なんですよ。
主人公はお金で性格すら変わってしまったけど、親友はお金に翻弄されなかった男性として描かれていることで、私達も客観的にお金と向き合うことができる、ということでしょうか。
何度も書いていますが、多重債務になって、毎日借金やその他の支払いに追われていると、確かに欲は無くなってしまいます。
「早く借金を返して自由になるんだ」という気持ちももちろん強いのですが、「借金を返すこと」が人生の目的になってしまい、その後の人生すら見えなくなる、というか。
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特に、この主人公のように3,000万円という、普通の仕事をしていたら、多分一生かかっても返しきれないような借金を背負ってしまったら、気がおかしくならないだけマシなのかもしれません。
唯一の理解者とも言える家族とも、だんだん気持ちが通じ合わなくなるのも、多重債務時代の自分と照らし合わせて、「わかる」と深く頷いてしまうのです。
だけど、その後ですよね。
私だったら、多重債務時代に宝くじに当選し3億円もの大金を手にしたら、もう狂喜乱舞で、すぐさま借金を返済し、欲しかったものを買ってしまうでしょう。
家を新築するかもしれません。
なんとか人並みに暮らせるようになった今でも、「宝くじ100万円でもいいから当たらないかな?」と思っているくらいですから。
主人公が、「お金さえあれば、借金さえ返せれば、家族は元通りになる」と単純に考えてしまうのも、その考えのために、どんどん気持ちが離れてしまうのも、痛いほどわかるんですよ。
結局、借金を抱えている自分も、大金を手にした自分も、本質は変わっていないんだということを理解しないと、お金にもてあそばれるだけの人生になってしまう、ということなのかな?
でも「お金が無いと生活できない」ということを一度体験してしまうと、「お金が無くても幸せ」ということは考えられなくなるんですよね。
とは言え、もう一度、お金と正面から向き合って、どう付き合えば幸せになれるのか?を考えてみたい、と思いました。