自己破産後の生活――本当に「再スタート」できるのか?
自己破産を検討している方や、すでに自己破産を経験した方にとって、その後の生活がどのようなものになるのかを考えることは非常に大きな不安材料となるでしょう。
借金の呪縛から逃れるためには自己破産しかないと思いながらも、その後の生活を想像すると、どうしてもネガティブな気持ちが先行してしまうのは無理もありません。
「家も財産も全て失い、路頭に迷ってしまうのではないか?」「自己破産が人生の再スタートになるなんて本当にあり得るのか?」そんな疑問や不安を抱えている方も多いはず。
実際のところ、自己破産後の生活はどうなのでしょうか?
財産はすべて失うのか?自己破産後の現実とは
自己破産をすると、資産価値が20万円以上のものはすべて取り上げられ、債権者に分配されます。つまり、「資産価値のあるものはすべて持っていかれる」と考えて間違いありません。しかし、日常生活を送っている中で、20万円以上の品物というのは意外と少ないものです。
例えば、自動車があっても、10年落ちの中古車やボロボロの車であれば、せいぜい数万円の価値しかつかないこともあります。また、家具や家電なども、一般的な中古品としての価値はあまり高く見積もられません。
しかし、自己破産時に「持ち家」であった場合、たとえどんなにボロ家であっても例外なく差し押さえの対象となります。つまり、家を失うことはほぼ避けられません。
任意売却で賢く対応――ホームレスを回避するためにできること
自己破産を考える際、持ち家がある方は任意売却を検討することが賢明です。
任意売却とは、差し押さえを受ける前に自分で家を売却し、その売却益を債務の返済に充てる方法なのですが、意外と知られていないのが現状。
差し押さえられて競売にかけられるよりも、多少なりとも高く売れる可能性があり、自分の意思で売却先を選ぶこともできます。
「自分で家を売却することは違法ではないのか?」と心配になるかもしれませんが、これは法律に違反する行為ではありません。
ただし、任意売却で得たお金は自己破産の手続きの中で債権者に分配されるため、自分の手元に残ることはありません。
任意売却が成功し、家を失った後は、次に住む家を見つける必要があります。
しかし、この「次の住まい探し」が大きな課題となることもしばしば。
最悪の場合、新しい住居を確保できず、自己破産後にホームレスになってしまうというリスクもあるのですから。
賃貸契約の壁――自己破産者に立ちはだかるハードルとは?
自己破産後の賃貸契約において、一番の障害となるのは「保証人の問題」です。
多くの賃貸物件では、入居者に対して保証人を要求するのが一般的で、特に、家族向けのファミリー物件では保証人が必須条件となっていることが多く、保証人がいないと契約ができません。
さらに最近では、「保証制度」を利用する物件も増えており、これらの保証制度を利用する際には「個人信用機関」の情報が参照されます。
クレジットカードの審査と同様に、過去の借入状況や自己破産の履歴が確認されるため、信用情報に傷がある場合、保証制度の審査を通過できず契約を断られるケースが多々あります。
自己破産後、保証人なしで賃貸契約を結ぶためには、数年分の家賃を一括で支払うといった提案をするしか方法がないこともあります。
実際に、自己破産経験者の中には、頭を下げてでも保証人を探し、何とかして住む場所を確保したという話も少なくありません。
自己破産後の賃貸契約を成功させるためのカギ――「信頼できる保証人」を見つけること
賃貸契約においては、「誰かが家賃を肩代わりしてくれる」という保証があれば契約が成立しやすくなります。
自己破産後でも、信頼できる保証人を見つけることができれば、審査で落とされることはほとんどありません。
要するに、「賃料を支払える力を持った第三者」が保証人として立つことで、大家さんに対する信頼性が担保されるのです。
しかし、現実問題として、自己破産を経験した後に「保証人になってくれる人」を見つけるのは非常に難しいこと。
たとえ借金の肩代わりではなく、賃貸契約の保証人であっても、引き受けてくれる人を見つけるのは簡単ではありません。
なぜなら、保証人になることで、万が一、家賃が滞納された際には、保証人がその責任を負うことになるからです。
自己破産後の生活を乗り切るために――冷静な判断と準備が必要
自己破産は借金の重荷から解放される手段の一つではありますが、その後の生活が一筋縄でいかないことは明白です。
財産を失い、住む場所を失い、さらに社会的信用も失ってしまう可能性があるため、その準備と心構えは非常に重要です。
特に「次にどこで生活するか」を考え、信頼できる保証人を確保することは、自己破産後の生活の安定に大きく影響します。
自己破産後も家族や友人との関係を維持し、理解者を得ることが、その後の生活をよりスムーズにするカギとなるでしょう。
どんな状況であっても、自己破産は「人生の終わり」ではありません。
大切なのは、その後の生活をどう立て直していくか。再スタートの道は厳しいものかもしれませんが、しっかりとした計画とサポートがあれば、再び安定した生活を取り戻すことは可能なのです。