任意整理は返済能力が無いとできない
「年金暮らしなんだけど、若い頃の借金がかさんでしまい、もう返せなくなったんです。でも、代々暮らしているこの家を手放すことはできないから、自己破産だけは避けたい。こんな私でも、任意整理はできますか?」
という質問を見かけました。
そもそも、任意整理とは?というところから考えると、解決策も出てくるのではないでしょうか?
任意整理は、ご存知のように、債務整理の中でも特殊な借金解決方法と言えるでしょう。
一番わかりやすいのは、「裁判所に申し立てを行わない」ということ。
だから、費用的にも安く済むし、債権者との和解が早ければ、スピーディーに処理が進むのです。
反面、債権者がなかなか和解に応じてくれなければ、それだけ時間もかかると言うもの。
ということで、最初に司法書士や弁護士の方に相談に行っても、本人に返済能力があまり無いと判断されれば、自己破産の方を勧められてしまうんですよね。
ちょうど私もそうでした。
相談に行った時は、自営の仕事もどん底で、他にはアルバイト的な仕事しかしていなかったため、「3年で返済するのは無理でしょう」と言われたんです。
借金総額も大きかったですし。
ただ、「自己破産だけは避けたい」と思っていたので、すがるような気持ちで「任意整理で何とかならないですか?」と何度もお願いしていたのですが・・・
ちょうど、その弁護士さんが抱えていた他の案件で、任意整理なのですが、1社だけなかなか和解に応じないケースがあったそうです。
それでも、粘り強く交渉した結果、やっと和解にこぎつけ、残債の返済が始まったということ。
最初は順調に返していたのですが、途中から遅れ気味になり、とうとう2年間返したところで、滞納が重なりギブアップ。
つまり、途中で自己破産に切り替えたわけです。
そうなると、苦労して返していた2年分の返済金額は、宙に浮いた形となり、また一から自己破産手続きのやり直しになるんですよ。
弁護士からは自己破産を勧められたけど任意整理にした理由は?
弁護士さんも、プライバシーの保護義務があるので、それ以上詳しいことはおっしゃいませんでしたが、私達にも同じような未来を見ていたのでしょう。
「悪いことは言わないから、自己破産で手続きした方が良いですよ」と。
その時は、「私達のためを思って言ってくれているのだ」ということがわかり、明日は我が身と一度は「自己破産」でお願いすることにしたのです。
その後、副業として始めていた仕事がうまく行き、なんとか任意整理で完済までできたのですから、ラッキーだったとしか思えません。
だけど、まだ若かったし、今ほど不景気ではなかったので上手く行ったところもあるんですよね。
これが、すでに年金暮らしの身だったら、どうなっていたか?と考えると、難しかったでしょう。
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年金暮らしの人が任意整理はできる?
実際に、年金のみの収入であっても、債権者がOKなら任意整理をすることは可能です。
ただし、年金の額によるでしょうね。
自営業の場合、国民年金基金などに加入していなければ、受給額が一桁なんていうことも。
そうなると、借金がいくら減らされると言っても、3年で残債を払っていくのは至難の業で、日々の暮らしさえ危ういですから。
例えば、借金を100万円まで減らしてもらっても、3年で割るとひと月3万円弱になってしまいます。
20万円くらいの年金をもらっていても、体のどこかにトラブルを抱えていれば、毎月の医療費や通院代などもかかるので、そんなに余裕のある生活はできないですよね。
家のローンがまだ残っていたり、固定資産税や修理代などもかかりますから、老後の生活ってそんなにゆとりのあるものではないのです。
老後破産が問題になるのも、こういった背景からだと思います。
年を取ってから借金を抱えてしまったら、できるだけ早いうちに借金をまとめるか、家を売却する、自己破産などの選択肢も視野に入れた方が良いでしょう。