「借金を減らせる」はずが負担増!弁護士事務所の不適切対応に苦しむ女性の実態

「借金を減らせる」はずが… 弁護士事務所の不適切対応に苦しむ女性の実態 コラム

毎月8万6000円の返済、手元には3万4000円しか残らず

高松市に住む20代の会社員女性は、奨学金や生活費のために借金を重ね、返済に苦しんでいた。彼女が抱えた負債総額は約940万円。毎月8万6000円を返済し、手元に残るのはわずか3万4000円という状況だった。少しでも負担を減らしたいと考えた彼女は、2024年7月、インターネットで見つけた東京都の弁護士事務所に助けを求めた。だが、その決断がさらなる苦しみを生むことになるとは、この時の彼女には知る由もなかった。

生活保護申請者が増加した理由は?

フリーター時代から膨らんだ借金の負担

女性が借金を始めたのは、大学時代に利用した奨学金約600万円の返済がきっかけだった。さらに、2022年に当時の恋人と同居を始めたことで生活費の負担が増大。アルバイトの手取り月収は12万円ほどしかなく、足りない分を消費者金融などから借りるようになってしまった。こうして7社から借り入れを続けるうちに、借金は940万円に膨れ上がった。

毎月の返済額は8万6000円に及び、貯金はわずか4万円。彼女は日々の生活に追われる中で、返済のために新たな借金を重ねる「自転車操業」に陥っていた。

「任意整理が最適」と勧められたが… さらなる負担増加

債務整理には、借金の返済条件を見直す「任意整理」、裁判所を通じて借金を免除してもらう「自己破産」など、いくつかの方法がある。女性は少しでも負担を減らそうと、東京都の弁護士事務所に電話で相談をした。

しかし、弁護士から告げられたのは、「債務整理できるのは3件だけ。任意整理がデメリットが一番少ない」という言葉だった。本来、日本弁護士連合会の規程では、依頼者とは直接面談を行うことが義務付けられている。しかし、この事務所は電話とメールだけで契約を成立させ、3社分の任意整理手続きを進めた。

結果として、残る4社への返済義務は変わらず、さらに弁護士費用として17万6000円が発生した。加えて、毎月3万5000円をこの弁護士事務所に支払う契約を結ぶことになり、女性の生活は改善されるどころか、さらに苦しくなった。

「借金を減らせる」はずが… 弁護士事務所の不適切対応に苦しむ女性の実態

「借金を減らせる」はずが… 全国で相次ぐ被害

「借金を減らせる」「返済の負担を軽減」といった広告を掲げる弁護士事務所に相談したものの、実際には負担が減らず、むしろ状況が悪化するケースが全国で相次いでいる。こうした被害を受け、有志の法律専門家らは2024年3月、「大量広告事務所による債務整理2次被害対策全国会議」を結成。被害者の救済に向けた活動を開始した。

地元弁護士に相談し、適切な解決策を見つける

女性は支援窓口を探す中で、全国会議に加盟する「高松あすなろの会」の存在を知り、ようやく適切な弁護士に相談することができた。そこで明らかになったのは、次のような問題点だった。

  • 任意整理の費用が相場より高額であること
  • 自己破産が最適な選択肢であったにもかかわらず、任意整理を強く勧められたこと

女性は、東京の弁護士事務所との契約を解約し、自己破産の準備手続きを進めることを決意した。

「支援団体を見つけられなかったら、高額な費用を払い続け、生活を再建できなかったと思うと恐ろしく感じる」と彼女は語る。適切な支援を受けられたことで、ようやく借金の苦しみから抜け出す道が開けたのだ。

救済の窓口はここに! 全国会議のホットラインを活用しよう

全国会議では、債務整理に関する相談を受け付けるホットラインを毎週火曜・金曜の午後1時~4時に開設している。また、結成から1年を迎える2024年2月28日と3月1日には、特別に「拡大相談ホットライン」を実施する。午前10時から午後6時まで、インターネットの無料音声通話や電話で相談を受け付ける。

相談は全国会議のホームページ(http://www.saimunijihigai.net/)から申し込むことが可能だ。借金問題に悩む人は、ぜひ専門家のアドバイスを求めてほしい。

「借金を減らせる」はずが… 弁護士事務所の不適切対応に苦しむ女性の実態

借金問題は適切な支援で解決できる!

今回の女性のように、債務整理を望んだにもかかわらず、逆に負担が増えてしまうケースは少なくない。しかし、適切な法律専門家の支援を受けることで、生活を再建する道は開ける。ネット広告をうのみにせず、信頼できる相談窓口を活用することが、借金問題を解決する第一歩となる。