借金を債務整理して、新たな人生をスタートさせた話
「毎月の支払いが怖かった。」
携帯の通知音が鳴るたびに、心臓が縮むような感覚があった。督促の電話かもしれない。カード会社からの請求かもしれない。残高不足の警告かもしれない。財布を開けば、小銭が少しあるだけ。銀行口座の残高はとうに底をつき、どうやって来月を乗り越えるかばかりを考える日々。眠れない夜が続いた。
そんなある晩、深夜の静けさの中で、再び携帯が鳴った。心臓がドキリと跳ね上がり、手が震える。画面を見れば、見慣れた番号。思わず目を閉じて、深呼吸をする。これは、いつものように恐れている電話なのか、それとも何か新しい知らせなのか。
恐る恐る通話ボタンを押すと、相手の声が聞こえた。「もしもし、こちら○○社です。お話ししたいことがあります。」その声は冷静で、しかしどこか心配を孕んでいる。私は一瞬、何を言われるのかを考えた。再度、深呼吸をし、意を決して耳を傾けた。
「現在キャンペーン中の子会社があり、もしかしたらもう少しお貸しできるかもしれません」その言葉が、少しだけ心を軽くした。今まで一人で抱えていた不安が、少しずつでも誰かと共有できるかもしれないという希望が芽生えた。
「お願いします。どうすれば良いですか？」と声を発する。心の中では、まだ不安が渦巻いていたが、少しずつ未来への光が差し込んできた気がした。
だが、その後、どん底へとひきづり落とされることになるのだが。。。
借金を抱えた経緯
私が借金を負ったきっかけは、些細なことだった。最初は、ちょっとした生活費の補填だった。給料日前に少しだけキャッシングをする。次の給料で返せばいい。それを何度か繰り返すうちに、金額は膨れ上がっていったのだ。
さらに、突発的な出費が続いた。友人の結婚式、車の修理代、急な引っ越し…。気がつけば、クレジットカードのリボ払いに頼るようになり、返済額はどんどん増えていった。支払っても支払っても元金はほとんど減らず、利息ばかりが積み重なる。「あと少し頑張れば何とかなる」と自分に言い聞かせながら、次第に現実を直視することができなくなっていった。
債務整理を決断した理由とその過程
転機が訪れたのは、ある日届いた一通の封書だった。消費者金融からの最終通告で支払いが滞れば法的措置を取るという内容だった。その瞬間、全身の血の気が引いた。もう逃げられない。このままでは、すべてを失う。
実は、「追加で借り入れできるかもしれない」という電話の後、紹介された金融業者に騙されかけたのだ。
「当社ではお貸しできませんが、こちらでご紹介する会社なら借りられるかもしれません。」という話にうっかり乗って電話をかけたのだが、「キャンペーン中」というのは名ばかりで、いわゆるソフト闇金の一種だったようだ。
「今なら無審査でお貸しできますが、前もって10万円振り込んでください。もちろん、その金額は差し引いて返済してもらいます。」
ということだったが、「キャンペーンが明日まで」とか「明日までに振り込まなければ貸せない」など、不安になる要素ばかりだったので、泣く泣く断ったのだった。
これでもう、返済できるあてはすべて断ち切られた、ということ。
恥ずかしさを押し殺して、法律事務所の扉を叩いた。「債務整理」という言葉を聞いたのは、そのときが初めてだった。弁護士の説明を受けながら、「もっと早く相談すればよかった」と何度も思った。任意整理を選択し、借金の減額と返済計画の見直しを進めることになった。
再出発（債務整理後の生活と気づき）
債務整理を終えてから、私の生活は大きく変わった。督促の電話に怯えることがなくなり、計画的にお金を管理する習慣が身についた。何より、精神的な余裕が生まれたことで、仕事にも前向きに取り組めるようになった。
かつての自分は、「借金をすることは悪いことではない」と考えていた。でも今は違う。お金は、正しく管理しなければ、人生を壊す凶器にもなり得る。過去の失敗を通じて、私はようやく本当の意味で「お金と向き合う」ことを学んだ。
まとめ（読者へのメッセージ）
もし、今借金を抱えて悩んでいるのなら、「ひとりで抱え込まないでほしい。必ず解決策はある。」と言いたい。
借金は、決して人生の終わりではない。一度つまずいたとしても、やり直す道はある。私もそうだったから、あなたも大丈夫。まずは信頼できる専門家に相談し、一歩を踏み出してほしい。
人生は何度でもやり直せる。その第一歩を、今、踏み出そう。
