借金を隠していた彼氏を信じた私の3年間

借金を隠していた彼氏を信じた私の3年間 コラム

信じていた彼氏に裏切られた日

最初にその事実を知ったとき、頭の中が真っ白になりました。
まさか彼が――あの優しくて、誠実そうで、きちんとした彼が――借金を抱えていたなんて。

私は当時33歳。彼とは付き合って2年が過ぎた頃でした。
結婚の話も少しずつ出ていて、親に紹介する日取りまで決まっていたんです。
でも、たまたま彼の部屋に行った時、テーブルに端に半ば隠すようにおいてあった書類に目が止まりました。
そこに「借用書」っていう文字を見つけた瞬間、「騙された」という気持ちになったのを覚えています。

借金を隠していた彼氏を信じた私の3年間


■「ごめん、ちょっと事情があるんだ」

問い詰めた私に、彼は静かにこう言いました。
「実は…借金があるんだ」

頭の中が一瞬で冷たくなったのを覚えています。
聞けば、総額はおよそ180万円。
理由は、仕事での転職期間中の生活費と、昔の彼女との同棲時代の残り。
ギャンブルや浪費じゃないにしても、「隠していた」という事実が何よりショックでした。

「なんで言ってくれなかったの?」
「嫌われると思って…」

彼は俯きながら言いました。
その姿を見て、怒りよりも悲しさのほうが大きかった気がします。


■「信じたい」という気持ちが勝った

普通なら、ここで別れる人も多いと思います。
でも私はそのとき、「信じたい」と思ってしまったんです。

彼は真面目で、浮気もしないし、私を大事にしてくれていた。
借金を返すために副業までしていて、「絶対に返す」と約束してくれた。
その姿を見て、「一緒に頑張ろう」と言ってしまいました。

今思えば、あのときの私は“恋に盲目”だったのかもしれません。
でも、彼を見捨てることができなかったんです。


■最初の1年:一緒に節約する日々

それからの1年は、正直大変でした。
デートはもっぱらおうちごはん。外食も月に1回あるかどうか。
でも、彼は本当に頑張っていました。
毎月きっちり返済して、家計簿までつけていたんです。

私はそんな彼の姿を見て、「この人はちゃんと反省してる」と思えました。
私自身もお弁当を作ったり、光熱費を節約したりして協力しました。
“借金”というマイナスを、ふたりで乗り越えようとしていたんだと思います。

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■2年目:信頼の揺らぎ

ところが、2年目の秋。
ふとしたきっかけで、彼がまた借金をしていることが分かりました。

彼は「急な出費で…」と言いましたが、私は一瞬で不安になりました。
「また隠してたんだ」
あの瞬間、胸の奥に小さな亀裂が走ったのを覚えています。

それでも、彼を責めきれませんでした。
仕事が忙しく、彼なりに頑張っていたのも知っていたから。
でも、心の中ではもう“完全には信じられない”自分がいました。


■3年目:別れを決めた日

そして3年目。
返済はあと少しというところまで来ていました。
でも私の気持ちは、もう以前のようには戻れませんでした。

デートをしても、笑っていても、どこかで「また隠しているかも」と思ってしまう。
それを隠すのがつらくて、どんどん距離ができていきました。

そんなある日、彼から「もう一度やり直したい」と言われました。
でも私は静かにこう答えました。

「あなたを信じたい気持ちは、もう使い切っちゃった」

その言葉を口にした瞬間、涙が止まりませんでした。


■別れて分かったこと

別れて半年後、私はようやく冷静に振り返ることができました。
あの3年間は、決して無駄ではなかったと思います。

“信じる”ということの意味を、深く考えさせられました。
信じるって、ただ相手を疑わないことじゃなくて、
「本音で向き合う勇気を持つこと」なんだと気づきました。

彼が借金を隠したのは、私を傷つけたくなかったから。
でも結果的に、隠したことで一番傷つけてしまった。
そして私も、「信じる」という言葉に甘えて、本音をぶつけきれなかった。


■今の私から、あの頃の私へ

もしあのときの私に声をかけられるなら、こう言います。
「無理して信じなくていい。疑うことも、愛の一部だよ」って。

恋愛って、綺麗ごとだけじゃ続かない。
お金の問題は、気持ちの信頼を試す現実のテストみたいなもの。
借金のある・なしじゃなく、「隠した」か「話せた」かが大切なんだと思います。


■それでも、信じたことに後悔はない

彼を信じた3年間は、苦しくて、泣いて、何度も迷った日々でした。
でも今では、「あのとき信じた自分」を誇りに思っています。

人を信じるって、簡単じゃないけれど、
その経験があったからこそ、今の私は“人を見る目”が少しだけ育った気がします。

もし今、あなたが「借金を隠されていた彼」を前に立ち尽くしているなら、
どうか無理に答えを出さなくていいと思います。
信じることも、離れることも、どちらも愛の形です。

私が3年かけて学んだのは、
「人を信じるには、まず自分を大切にすること」。
その気持ちさえ忘れなければ、どんな恋の終わりも“成長の証”になると思います。


■おわりに

借金を隠していた彼を信じた私の3年間は、
苦くて、優しくて、そして少しだけ誇らしい思い出になりました。

“信じる”という言葉は、簡単に使えるけれど、
そこには覚悟と痛みがついてくる。

それでも、私は信じた。
あの頃の自分に「よく頑張ったね」と言ってあげたい。
そして、同じように悩んでいる誰かに、そっと伝えたいです。

「信じることに後悔はない。でも、自分を犠牲にしすぎないで。」