2024年度上半期、生活保護申請が増加――物価高と支援縮小が影響
2024年度上半期(4~9月)の生活保護申請件数が、前年同期比で2.8%増の13万3274件に上ったことが28日に明らかになりました。このデータは厚生労働省が公表したものを共同通信が分析した結果で、過去の新型コロナウイルス感染拡大期や、その後の生活支援縮小時期をも上回る申請件数となっています。物価高が長引く中、賃上げの効果が及ばず、多くの家庭が家計の圧迫に苦しんでいる実態が浮き彫りになりました。
物価高と生活支援縮小が直撃した低所得者層
コロナ禍がもたらした経済の混乱は、低所得者層に深刻な影響を与えました。感染拡大初期には特例的な生活支援が実施されましたが、これらの支援が2023年に縮小されたことで、多くの家庭が再び困窮状態に陥りました。2024年上半期の申請件数は、コロナ禍前の2019年同期(11万4067件)と比較して16.8%増加しています。
また、前年同期との比較では、2020年には1.1%減少したものの、2021年から2022年にかけては経済や雇用情勢の悪化を背景に3~4%台の増加を記録しました。2023年にはさらに増加幅が広がり、5.4%増の12万9606件となりました。この流れが2024年も続き、さらに高い申請件数に達したのです。
賃上げの効果が追いつかない現状
一部の企業では賃上げが行われているものの、物価高の影響で家計の負担が増加しており、十分な効果を実感できていない家庭が多い状況です。特に食料品やエネルギー価格の高騰は、低所得者層にとって大きな打撃となっています。
物価上昇に対する賃金の伸びが追いつかない現状では、生活保護の申請は今後も増加する可能性が高いと考えられます。経済の回復を目指す中で、より効果的な支援策が求められています。
年末年始の支援強化が急務
2024年の年末年始は最大9連休となり、多くの公的機関が閉鎖されます。この期間中に困窮や孤立が深刻化することを防ぐため、自治体や支援団体による支援強化が急務となっています。
具体的には、食料配布や電話相談といった取り組みが既に一部で始まっています。これらの活動は、直接的な支援を必要とする人々にとって重要な役割を果たしています。
今後の課題と展望
生活保護申請の増加が示すのは、現代社会における経済的な不安定さと、それに伴う支援の必要性です。物価高や支援縮小が生活の基盤を揺るがす中、政府や自治体は迅速かつ柔軟な対応が求められています。
一方で、支援を受ける側だけでなく、支援を提供する側の負担も軽減する仕組みが必要です。例えば、デジタル技術を活用した申請手続きの簡素化や、民間団体との連携強化が効果的な解決策として考えられます。
2024年後半以降、生活保護申請件数がどのように推移するのか注視しつつ、持続可能な支援体制の構築が急務です。物価高が続く中で、多くの人々が安心して生活を送れる社会の実現が期待されています。